ぱぐもんのOCD日記

強迫症(強迫性障害)と生きる30代女性のいろいろ

Real Event OCDとは:過去の出来事に関する強迫症

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今日は「Real Event OCD」について学んだことを、共有したいと思います。

「Real Event OCD」って聞いたことありますか?

日本語だとあまり情報が出てこないかもしれませんが(もしかしたら、名前自体付けられてないかも)、どんなOCDなのか知ったら「あー、私にもあるある!」って思うかもしれません。

「Real Event OCD」については、The OCD Storiesというポッドキャストで紹介されていました。

theocdstories.com

Stuartという方がこのポッドキャストを始めて、彼が毎週OCDの専門家や当事者にインタビューするという形式です。この回では、StaceyというOCDの専門家に「Real Event OCD」についてインタビューしています。

以下私なりに、内容をまとめました。ただ、英語→日本語の訳の時に、ちょうど良い言葉が思いつかないことがあるので、表現を変えたり、当事者としての私の解釈も少し入っています。ということで、詳しいことは専門の先生に聞いてくださいね。

 

「Real Event OCD」とは?

  • 過去に起きた出来事に対してのOCDで、その出来事に対して恥ずかしく思っていたり、悪いことをしたと罪悪感を持っている(例:自分が○年前にしたことは、子どもに対する性的な虐待だったんじゃないか?など)
  • 例えば、10年前の出来事に対しても、今まで気にしていなかったのに、ある日突然気になり始めて、それが頭から離れなくなる。
  • あまりの罪悪感から、人に話すのが怖い場合も。「話したら、警察を呼ばれてしまうんじゃないか?」「牢屋に入れられてしまうんじゃないか?」と思う人もいる。

 

強迫観念と強迫行為

  • その出来事が頭から離れなくなると、「この不確定さ(曖昧さ)をどうにか解決しないといけない」という衝動に駆られる。自分が思っている「罪」や「恥」をどうにかしないと、先に進めなかったり、幸せに生きられない気がする(→強迫観念)。そして、この「どうにかしないといけない」という衝動が生まれる。
  • 不確定さに対処するために、心や頭の中で強迫行為(目に見えないことが多い)=Mental Compulsionsを行う。
  • 強迫行為の例:記憶を辿る、思い出そうとする、分析する、特定の話題を避ける、その人(危害を加えたと思っている人など)が大丈夫かどうかFacebookなどで確認する。
  • OCDなのか、その出来事に対しての妥当な反応 (Reasonable Reaction) なのかを見分けようとすること自体が強迫行為になる。
  • その出来事に対しての恥があまりに大きかったり、話すのが怖くて、人に言えない人もいるが、話せる場合は家族などに話して、自分のしたことが本当に悪いことがどうか聞いてしまう(再保証を求める行為=Reassurance Seeking)。
  • 人によっては、自分を罰すること(Self-Punishment)が強迫行為になる。自分にふさわしい程度の罰を決めるために、人に聞くこともある。
  • 強迫行為をすることで落ち着くが、「でも、○○だったら?」や「でも、もし○○だったらどうする?」と、OCDが新たな疑問を問いかけてくる。これにより、家族やカウンセラーに「○○ということもありました」と、新たに話したり、追加で告白しないといけないことが途絶えなくなる。→Staceyがここで話していたのが「クライアントは全てを話さなくて良い」ということ。カウンセラーは、全てを知る必要がない。

 

ERP(曝露の方法)

  • その出来事のスクリプトを書く。この時注意しないといけないのが、出来事(何が起きたか)のみを書くということ。自分の見解やSelf-Punishmentを含めない。
  • Mental Compulsionsをしそうになったら、自分の意識を「現在」に向け直す。その出来事は、今起きていることではないということに気づく。

 

この後、ACT (Acceptance and Commitment Therapy)、マインドフルネス、セルフコンパッションについても少し触れていました。

ERPの方法の部分がよく分からなかったので、そのあたりは専門の方に聞いた方が良いですね。先生によって、方法も違うかもしれませんが。

これはどんなタイプのOCDにも共通していると思いますが、やっぱり「不確定さの中に身を置く」というのが治療のカギなのかなと思います。このポッドキャストの中でも、何度も話されていました。

最後にStaceyからのメッセージ:「OCDはよくなるわよ。そして、自分が生きたいと思う人生を歩んで、自分がなりたいと思う人間に近づけるようになるわ」

 

この「Real Event OCD」に悩む当事者として言えることは、自分でも今更そんな過去の話をしても・・・と思っているのに、急に頭に浮かぶとそのことが離れなくなって、私の場合はそれに対する罪悪感が襲ってきます。いつ浮かんでくるかも予測がつかないから、怖いです。

「なんか嫌な記憶を思い出しそう」という前兆みたいなのがあって、考えるのを止めようとか、気を紛らわせようとしても、1度この前兆があるともう罠にはまってしまったような感じになります。胸のあたりが緊張したり、ドキドキすることも。

自分の頭の中だけで起きているから、日常生活はできるし、行動が制限されることはあまりないけど、本人はとても辛いです。なので、もし家族やパートナーにこの「Real Event OCD」で苦しんでいる人がいたら、この点だけでも理解してもらえたら、少し心強いかなって思います。